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トスカーナ地方のワイナリー・ワインの特徴を在住者が解説!歴史・作り方を踏まえたおすすめ銘柄8選!
トスカーナのワインが美味しくて有名と聞いて飲んでみたいけれど、選び方がわからないという方におすすめの記事です。トスカーナワインの特徴や、おすすめの銘柄、トスカーナのワイナリー訪問についても、まとめています!ワインを美味しく楽しみたい方のヒントになれば幸いです!
トスカーナワインの産地、トスカーナについて
こんにちは!イタリアのトスカーナ地方在住のライター、Yoko Mansikkaです。
今回はトスカーナワインについての記事をお送りします。
イタリアのトスカーナ州は、ティレ二ア海に面するイタリア半島の中西部に位置します。
地中海性や内陸性の気候により、地域によって特色のあるワインを持っています。
州都はルネッサンス文化の中心だったフィレンツェです。
ワインで初の原産地保護を始めたのもトスカーナ大公で、現在も貴族家が所有するワイナリーが多いなど、ワインからその歴史を学ぶことも出来ます。
私は、日本からトスカーナ州に移住したのですが、イタリア人の主人の親戚や友人は、ワインや農業など、食品の生産や販売に関するお仕事の方々が多いし、自家用ワインを作っていらっしゃる方もおられます。現地のまわりの方々の食に関しての意識の高さに、とても刺激を受けています。
この記事を読んだ後、皆さんもトスカーナワインに、さらに興味を持っていただければ嬉しいです!
トスカーナワインをよりよく知るためのワイン用語
トスカーナワインのおすすめ銘柄を解説させていただく前に、イタリアのワインを飲む上で知っていると、それぞれのワインについて理解しやすくなる用語をお伝えいたします!
イタリアワインの格付けについて解説
トスカーナワインをより知るために、イタリアのワインの格付けについて知っておきましょう。イタリアでは、消費者にワインの中身がわかりやすくするための格付けがあります。
ピラミッド型の構図で、最も下が、ブドウの品種や生産地域の表示の必要ないテーブルワインのVino da tavola、それから「地域特性表示ワイン」のIGT、そして「統制原産地呼称ワイン」のDOC、「統制保証付、原産地呼称ワイン」DOCGとランクが上がっていきます。
また、DOCからDOCGにランクアップするには、DOCになってから最低10年以上たっている必要があります。
さらに、DOCGのワインはDOCのワインには課されない、瓶詰される前に政府の認可を受けたスタッフにより分析され、試飲されなければならないという制限があります。
ワインのラベルには、DOCGは“Denominazione di Origine Controllata e Garantita”、DOCは “Denominazione di Origine Controllata”、IGTは “Indicazione Geografica Tipica” と略さず表記されています。
イタリア語を覚えなくても、頭文字をとって、どの格付けか把握出来ます。
また、DOCGワインは、さらにClassico(クラシコ)とRiserva(リゼルヴァ)という、さらにワインについての情報を述べられる分類名称をつけていることがあります。
Classico(クラシコ)
限定された地域で作られる、伝統的な製法の特定のワインにつけられる分類名称。
有名なキャンティワインとキャンティ・クラシコの差は何かというと、ワインのキャンティ・クラシコは、キャンティ地方の中でも、より制限され伝統的な地域だと定められたエリア、【キャンティ・クラシコ】で作られているワインです。製法も異なったルールで定められています。
キャンティとキャンティ・クラシコについては、トスカーナワインのおすすめの章で詳しく説明いたしますので、ぜひご覧ください。
Riserva(リゼルヴァ)
そのDOCGワインが持つ熟成年数の規定より、さらに熟成年数をかけた規定をクリアしたものに適用されます。
例えば、トスカーナワインの1つ、DOCGワイン、ノービレ・ディ・モンテプルチアーノは2年以上の熟成が定めらていて、ノービレ・ディ・モンテプルチアーノ・リゼルヴァは、最低3年以上の熟成期間が定められています。
2009年に適応された新しいヨーロッパ法によって、テーブルワインのVino da tavolaはVino(ワインという意味)、それから「地域特性表示ワイン」のIGTはIGPになりました。
そして「統制原産地呼称ワイン」のDOC、「統制保証付、原産地呼称ワイン」DOCGの2つは合わせて「保護原産地呼称ワイン」のDOPになったものの、以前のイタリアの格付けによる表記は現在も有効で、今もIGT、DOC、DOCGという格付けは大事にされています。
ちなみに、上の写真は、IGT(Indicatione Geografica Tipica)ワインのToscana Rossoで、ワイナリーPODERE NANNINIのものです。
ワインのラベルの情報から、中身がわかるように、このような仕組みになっています。
人気のスーパータスカンは、イタリアワインの伝統に沿わない革新派!
トスカーナワインについてよく知るために、知っておきたいのが「スーパータスカン」。
スーパータスカンとは、イタリアの格付け基準に沿った美味しいワインを目指すのではなく、格付け基準から外れたイタリアの土着のぶどう品種ではない、カベルネ・ソーヴィニヨンなどを使って作り出されたワインです。
スーパータスカンの主要産地のボルゲリは、トスカーナ州の中でも、他の主なトスカーナワインの内陸の産地とは異なる、比較的温暖な地中海性の気候の土地で、日が降り注ぎ、海からの風が吹き、水はけの良いボルゲリの土地は、カベルネ・ソーヴィニヨンの栽培に適した土地だったのです。
スーパートスカンで有名な銘柄は、カベルネ・ソーヴィニヨンにメルロなどを加えたオルネライア、カベルネ・ソーヴィニヨンを85パーセント使用するサッシカイア、イタリアの土着ブドウ品種のサンジョベーゼにカベルネ・ソーヴィニヨンを加えたティニャネロなどが、有名な銘柄です。
これらのスーパートスカンの高品質のワインはイタリアの格付け基準には沿わないので、IGT扱いでしたが、世界的な人気と高評価を得て、サッシカイアは1994年にDOCと認められるにいたりました。
トスカーナワインをつくるイタリア原産のブドウ品種、サンジョヴェーゼ
サンジョヴェーゼは、トスカーナで作られるワインで最も使われる、イタリアの土着品種であり、赤ワイン用のブドウ品種です。
名前の起源は、ラテン語の血液(Sangius)と、ジュピター(Joves)を合わせたものと言われています。サンジョヴェーゼは、突然変異が起こりやすく、サンジョヴェ―ゼが主体のトスカーナワインの銘柄それぞれに独自のスタイルをもたらしています。
例えば、トスカーナ州のモンタルチーノで作られるDOCGワイン、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノは、サンジョヴェ―ゼの突然変異種である品種、ブルネッロを100パーセント使うワインです。
ワインを作るブドウについて知っておくと、ワインを選ぶ際の目安にもなりますし、それぞれのワインについてさらに知ることが出来て、楽しくなるかもしれません。
ハンガリー・ブダペストのお土産はワイン!在住者おすすめ大人気ブランドと最新ワイン店をご紹介!
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おすすめの美味しいトスカーナワイン8選!
この章では、美味しいトスカーナで作られるワインのおすすめの銘柄と、特徴を解説いたいます。
ぜひ、あなたの好みのトスカーナワインを見つけてみてください。
おすすめトスカーナワイン①ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ(Brunello di Montalcino)は、イタリアの土着ブドウ品種のサンジョヴェーゼが突然変異した、ブルネッロを100パーセント使う、力強さや酸味に、繊細でなめらかな優美さ、果実味を備えたDOCGの赤ワインです。
長期熟成のポテンシャルに長けて、熟成につれて重厚さが柔らかく優美になっていきます。
ピエモンテ州のバローロ、バルバレスコとともに、イタリアの3大赤ワインに挙げられている、イタリアワインの女王と呼ばれるワインです。
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノは5年の熟成期間が定められていますが、熟成に使う木樽も大きく2つの傾向が見られます。
伝統的な方法だと、より大きい、クロアチア産の木樽を使い、長期熟成のポテンシャルを持つワインが生まれます。
現代的な方法だと、フランスのボルドーからの方法を取り入れ、より小さいフランス産の木樽を使い、伝統的な方法で作るワインより早く飲み頃を迎えることが多いです。
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノのワイナリー
ビオンディ・サンティ Biondi Santi
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの生みの親といわれるワイナリー。
biondisanti.com
伝統的な製法を受け継ぐワイナリー。
サルヴィニオーニ Salvioni
映画監督フランシス・コッポラなど著名人も御用達のワイナリー。
www.aziendasalvioni.com
シロ・パチェンティ Siro Pacenti
現代的でクリーンな味わいのブルネッロが評判のワイナリー。
www.siropacenti.it
おすすめトスカーナワイン②ボルゲリ・サッシカイア
ボルゲリ・サッシカイア(Bolgheri Sassicaia)は、トスカーナ州西部の海岸に近い町、ボルゲリで作られる、イタリアワインの至宝と呼ばれるスーパータスカン。
イタリアの土着のブドウ品種ではない、カベルネ・ソーヴィニヨン85パーセント、カベルネ・フラン15パーセントで作られる赤ワインです。
口当たりは力強く、酸味と果実味の上品な調和が取れた、まろやかな味わいが特徴です。
ボルドーワインの愛好家だった侯爵によってボルゲリで始まった新しいワイン造りは、スーパータスカンのティニャネロやソライアを生み出したワイナリー、アンティノリの醸造家を招き、至宝と呼ばれるサッシカイアを作り上げました。
1994年には、スーパータスカンというワイン法の規格外であったにも関わらず、イタリアワイン唯一の単独のワイナリーでDOCを認められています。
ボルゲリ・サッシカイアのワイナリー
テヌータ・サン・グイド Tenuta San Guido
単独ワイナリーで唯一DOCに昇格した、ス―パタスカンのサッシカイアを作り出すワイナリー。
www.tenutasanguido.com
おすすめトスカーナワイン③モレッリーノ・ディ・スカンサ―ノ
モレッリーノ・ディ・スカンサ―ノ(Morellino di scansano)は、スーパータスカンの産地のボルゲリと同じマレンマ地方の中にある町、スカンサーノの周辺の定められたエリアから生まれるDOCGの赤ワインです。
モレッリーノの名前の由来は大きく2説あり、スカンサーノのワインの搬入に使われた馬車をひいた馬の名前のモレッリからとの説、または、ワインに使われたサンジョベーゼの特徴的な色合いを表すモレッラ(現地の言葉で黒)との説があります。
サンジョベーゼを85パーセント以上使用し、残りはトスカーナで取れた黒ブドウの品種を混ぜて作られ、サンジョベーゼ主体のワインとしては濃いルビーレッド色が特徴です。
モレッリーノ・ディ・スカンサーノで使われるのは、サンジョベーゼの中でも、サンジョベーゼ・ピッコロという小さな粒の種類です。
スカンサーノの持つ地中海性の気候や、位置もトスカーナの中でも南部にあたるということに関係して、ブドウがより熟し、サンジョベーゼの酸味が抑えられて、フルーティに感じられます。
モレッリーノ・ディ・スカンサーノのワイナリー
モリスファームズ Moris Farms
モレッリーノ・ディ・スカンサーノを作るワイナリーの中でも老舗のワイナリー
www.morisfarms.com
ロッカペスタ Roccapesta
栽培・醸造コンサルタントのアンドレア・パオレッティ氏とともに作り上げたワイナリー
www.roccapesta.com
おすすめトスカーナワイン④キャンティ/キャンティ・クラシコ
キャンティは、シエナ~フィレンツェ間の丘陵地、その周辺のキャンティ地方で作られる酸味が特徴のサンジョベーゼが主体の赤ワインです。
キャンティはDOCGワインの銘柄ですが、質も味も生産者によってばらつきがあると知られており、1000円以下で買える低価格帯ワインもあります。
1932年に、キャンティと区別してキャンティ・クラシコが生まれた背景も、キャンティのそういった多様な広がりにありました。
キャンティ・クラシコは、キャンティ地方の中でも限定したエリアで作られ、製法の決まりもキャンティと異なります。
また、2013年には、キャンティ・クラシコのエリアで作られるワインの中でもさらにキャンティ・クラシコ・グラン・セレツィオーネという上位の銘柄が生まれました。
キャンティは、その歴史的背景から、高級ブランド化がされていっていて、難しくも思えますが、それぞれの特徴をつかむことでワイン選びもしやすくなるので、ぜひ参考にされてみてください!
以下、それぞれのワインの銘柄の規定について説明します。
キャンティ(DOCG)
キャンティ地方で作られるワイン。
規定が比較的自由で、中身は多様でばらつきがある。
サンジョベーゼの割合は、75パーセントから100パーセント。
白ブドウ品種は10パーセントまで、黒ブドウ品種のカベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フランなどは、15パーセントまで混ぜることが可能。
熟成期間は木樽の中で3か月以上と決められている。
キャンティ地方の中でも7つの特定地域があって、特定地域ごとにブランド化されている特定地域ブランドによって、ブドウの品種や熟成期間など規定は変わってくる。
例えば、上記の写真のワイン、Chianti Rufina(キャンティ・ルフィナ)とは、キャンティの中でもフィレンツェの北東に位置するルフィナの地域のブランドであることを意味している。キャンティ・ルフィナの地域ブランドの規定の中でも特徴的なのが、熟成期間の長さ。
木樽で最低6か月、ボトルの中で最低3か月と、合計で最低で熟成期間は9か月という長さ。通常のキャンティの熟成最低期間より長い。
また、2013年に、新しくブランド化された、キャンティ・スーペリオーレ(Chianti Superiore)は、キャンティ地方の中のエリアではなく、品質で区別されたワインの銘柄。
キャンティよりも、規定が厳しく、合計の熟成期間は9か月以上。
キャンティのワイナリー
フレスコバルディ侯爵家所有のワイナリー。
キャンティ・ルフィナ・リゼルヴァDOCGのNIPOZZANO VECCHIE VITIとNIPOZZANO RISERVAと、キャンティDOCGであるCASTIGLIONI CHIANTIの銘柄がある。
ホームページは、日本語表記もあり、とてもわかりやすくて興味深い。
フラスコーレ Frascole
キャンティ・ルフィナDOCGの"Frascole" や、キャンティ・ルフィナ・リゼルヴァDOCGの"Frascole Riserva"を持つワイナリー。
www.frascole.it
キャンティ・クラシコ(DOCG)
キャンティ・クラシコは、キャンティ地方の中で、伝統的にキャンティが作られていたとされるエリアで作られたワイン。
キャンティ地方のワインが、ピンからキリまで広がっていく中で、1932年にキャンティ・クラシコのエリアとして区切られた。キャンティと比べて、キャンティと比べて、高い品質の統一性があって選びやすいと言える。
黒い雄鶏ガッロ・ネーロの印が、キャンティ・クラシコのワインにはついている。ちなみに印にある1716年という年号は、トスカーナ大公であったコジモ3世が、キャンティを始めとするワインの原産地呼称を定めた年である。
サンジョヴェーゼの割合は、80パーセント以上。白ブドウは使用できない。
最低熟成期間は、11か月以上とキャンティの規定よりも7か月長く、長期の熟成によって、酸味のバランスが整い、タンニンもまろやかになっていく。
キャンティ・クラシコ・グラン・セレツィオーネは、2013年にキャンティ・クラシコの上位ブランドとして作られた銘柄。
キャンティ・クラシコより、さらに規定が厳しくなっている。
最低熟成期間は、最低30か月以上と、キャンティ・クラシコのリゼルヴァの最低熟成期間の規定の24か月よりも長い。
キャンティ・クラシコのワイナリー
カスティロ・ディ・アマ Castello di Ama
上級ブランド、キャンティ・クラシコ・グランセレツィオーネDOCGを持つ名門ワイナリー。キャンティ・クラシコDOCGのCHIANTI CLASSICO AMAを作っている。
www.castellodiama.com
アンティノリ Antinori (Tenuta Pèppoli)
スーパートスカンでも著名なワイナリー、アンティノリの持つキャンティ・クラシコDOCG、ペポリ・キャンティ・クラシコ・アンティノリ。フルーティでタンニンが柔らかく、親しみやすい。
www.antinori.it
おすすめトスカーナワイン⑤ノービレ・ディ・モンテプルチアーノ
ノービレ・ディ・モンテプルチアーノ(Nobile di Montepulciano)は、シエナ県の丘陵地にあるモンテプルチアーノの土地で作られるDOCGワインです。
サンジョヴェーゼ70パーセント以上の赤ワインで、白ブドウ品種を混ぜることは許されていません。使われるサンジョベーゼは、プルニョーロ・ジェンティーレ(Prugnolo gentile)と呼ばれる種類の、粒の大きなサンジョヴェーゼ・グロッソになります。
名前のノービレが意味する「高貴」を思わせる上品な風合いと、フルボディの力強さを味わえます。少なくとも木樽での1年の熟成を含めた2年の熟成期間が決められており、リゼルヴァなら最低でも3年の熟成が必要になります。
このトスカーナワインのおすすめの銘柄の章の後に、このワインのワイナリー見学をした際のレポートを載せていますので、ぜひ読んでみてください。
ノービレ・ディ・モンテプルチアーノのワイナリー
アンティノリ ANTINORI (Tenuta La Braccesca )
アンティノリの所有するワイナリー、ラ・ブラチェスカ。なめらかなタンニン、果実味の調和を特徴とするノービレを作る。
www.antinori.it
チェッキ Cecchi
1893年設立のトスカーナにおける老舗のワイナリー。ノービレの特徴として、すみれのような香りと、ほのかなタンニンが重厚さの中に感じられる。
www.cecchi.net
おすすめトスカーナワイン⑥ヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノ
ヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノ(Vernaccia di San Giminiano)は、シエナ県にある中世の塔の町と知られ、世界遺産に登録されているサンジミニャーノの周辺で作られるDOCGの白ワインで、フルーティさの中に、ほのかな酸味と苦みを感じられるのが特徴です。
サンジミニャーノで作られる白ブドウ品種のヴェルナッチャを90パーセント以上使う規定があります。
このワインの歴史はとても古く、13世紀後半には貴族など富裕層に好まれていたとの記録が残っています。ダンテの神曲 煉獄編の中でも「うなぎのヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノ煮」が記されていたり、当時の人気を知ることができます。
その後、ヴェルナッチャは、衰退していきましたが、1930年代から再興に力が注がれ、イタリアワイン法制定後、1966年にはDOC、その後DOCGが新しく制定された後の1993年にはDOCGに認定されています。
このワインは、さらに3つに分けられていて、一般的なもの(Annata)は、フレッシュで軽く、後味にほんのりと苦みがします。食事に合わせやすいのがこのタイプです。
Selezioneは、使用するブドウを厳選したり、様々な生産法で風味を高めるなどし、概して、濃厚さが出て、より複雑さのある味わいが出てきます。
Riservaは、最低でも11か月の熟成期間が義務付けられ、味わいはまろやかになり、厚みが出てきます。
料理との相性では、さっぱりとしたワインが、魚介類、トマトソースを使わないパスタ、鶏肉などと合います。
トスカーナは赤ワインが有名ですが、白ワインのヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノもおすすめです。
ヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノのワイナリー
ファットリア・ポッジョ・アローロ Fattoria Poggio Alloro
アグリツーリズモを営むワイナリーで、スタンダードなヴェルナッチゃの他、選んだブドウを使い、フレンチ・オーク樽で熟成させたヴェルナッチャのシリーズ( Le Mandorle)なども作っている。
fattoriapoggioalloro.com
ソノ・モンテニドリ Sono Montenidoli
TRADIZIONALE、FIORE、CARATOと名付けた3種類のヴェルナッチャを作るワイナリー。味わいの差、相性の良い食事についても、それぞれ詳しくホームページで解説されている。
www.montenidoli.com
おすすめトスカーナワイン⑦スヴェレート
産地のスヴェレート(Suvereto)は、海岸(Costa degli Etruschi)を前に置く、リヴォルノ県の丘の上に位置し、日光を取り組みやすい地形や、石灰質の土など、ブドウを育てるのに良い条件がそろっている土地です。
もともと、ヴァル・ディ・コリナ(Val di Cornia)というワイン銘柄に属していたのですが、その中でも2011年に独立したブランドとして、DOCGになったのが、スヴェレートで作られるワインの銘柄です。
このスヴェレートの地域のワインの特徴として、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルローといったフランスのブドウ品種をメインに使う、辛口フルボディの赤ワインであることが挙げられます。
トスカーナワインにおけるDOCGの格付けにおいて、この2つブドウ品種が重きを置かれていることは、これらのフランスの品種がいかに世界で成功し、イタリアのワイン法においても認めさせたか物語っています。
それでは、スヴェレートで作られるDOCGの銘柄について説明いたします。
スヴェレート(Suvereto)は、85パーセント以上をカベルネ・ソーヴィニヨンかメルローを単一か組み合わせて使い、残りは黒ブドウを使うと定められています。
そして、次に挙げる3つは、銘柄にメインとなるブドウ品種の名前が入っていて、その品種を85パーセント以上、残りは黒ブドウと定められています。
スヴェレート・カヴェルネ・ソーヴィニヨン(Suvereto Cabernet Sauvignon)
スヴェレート・メルロー(Suvereto Merlot)
スヴェレート・サンジョヴェ―ゼ(Suvereto Sangiovese)
スヴェレートのワイナリー
Rubbia al Colle ルッビア・アル・コッレ
Fratelli Muratoriによるワイナリーでしたが、2019年にAntinoriの所有になりました。Suvereto DOCGであるOlpaio(オルパイオ)は、メルロー80パーセントとサンジョヴェーゼ20パーセントで作られるワインです。
www.suveretowine.com
Suvereto Wine
スヴェレートの地域で作られるワイナリーの共同のウェブサイトです。様々なワイナリーによる、DOCG指定以外の銘柄も、見つけられます。良いワインの産地を掘り下げたい方に、おすすめです。ワイナリー、Bulichellaを運営されているのご家族の旦那様は日本人です。
www.suveretowine.com
ペトラ Petra
ペトラは、Suvereto DOCGの銘柄のワインは作っていませんが、スイスの建築家、マリオ・ボッタによるワインセラーが美しく、ワイナリー見学も開催されています。以前、BELVENTOシリーズのSangioveseをイタリア人の方からいただきましたが、ラベルも亀の絵で素敵で、美味しくいただきました。
www.petrawine.it
おすすめトスカーナワイン⑧エルバ・アレアティコ・パッシート
エルバ・アレアティコ・パッシート(Elba Aleatico Passito)は、エルバ島で作られる甘口の赤ワインです。ベリーの果実やバラのような香りがします。食後に小さなグラスで、甘いお菓子と合わせるのがイタリアでは一般的で、おすすめです。
2011年にDOCGに認定されたワインです。
アレアティコというのは、ブドウの品種で、赤ワインやロゼワイン、特に食後のデザートワインとして使われる品種です。このワインでは100パーセント、このアルアティコを使います。
また、パッシートというのは、乾燥させて、糖度を高めたブドウを使用した甘口ワインを作る製法のことで、このワインで使われています。
エルバ島は、イタリア半島とフランス領コルシカ島の間、ティレ二ア海に浮かぶ休暇を過ごすリゾートとして人気の島です。ナポレオンが戦いに敗れて流された島としても有名で、ナポレオンもエルバ島の住民が強く健康なのは、島のワインがそれらを彼らに与えるからだ、と述べたといわれています。
エルバ・アルアティコ・パッシートのワイナリー
テヌータ・デレ・リパルテ Tenuta delle Ripalte
エルバ島のリゾート型滞在施設のワイナリーで、ワインセラー見学も予約できます。アレアティコ・パッシートDOCGの他、アレアティコで作るグラッパなども生産しています。
www.tenutadelleripalte.it
テヌータ・ラ・キウーザ Tenuta La Chiusa
エルバ・アレアティコ・パッシートDOCGの他、エルバ島のDOCである、VERMENTINO(ヴェルメンティ―ノ)やANSONICA(アンソニカ)といった白ワインも生産しているワイナリーです。
www.tenutalachiusa.it
トスカーナワインの産地へ。ワイナリー訪問のすすめ!
トスカーナワインについて、前の章でおすすめを書かせていただきましたが、色々と情報が集まって少し知識が増えたら、実際に飲んでみたり、ワインが作られる土地やワイナリーに行ってみたくなりませんか?
この章では、トスカーナワインのワイナリー訪問について、おすすめいたします!
ワイン初心者にもおすすめ、モンテプルチアーノの町の地下にあるワインセラー見学
ワイナリーに行くのは敷居が高そう、、なんてイメージを持たれる方もいらっしゃると思います。そんな方には、今回ご紹介するモンテプルチアーノの町の中で楽しめる、ガイドなしの無料のワインセラー見学から始めてみるのもよいかもしれません。
筆者はトスカーナ州の中でも海よりの、どちらかというと前章でご紹介したワインの産地、ボルゲリやスベレートの近くに住んでいますが、今回は小旅行も兼ねて、シエナ県の丘陵地のモンテプルチアーノまで、夫に運転をお願いして行ってまいりました。
訪れたのは1月で、モンテプルチアーノの町に続く丘陵地に広がるワイン畑は、しんとしていましたが、収穫前の時期ならブドウが実っている様子も楽しめます。
訪れたのは、【Azienda Agricola Ercolani】のワインセラー。
彼らのワインセラーは、モンテプルチアーノの町の中のお店の奥の地下にあり、無料で予約なしで入場できる人気の観光スポット【La Città Sotterranea】として開かれています。
この地下のワインセラーは、14世紀に造られた7つの地下道からなっており、エルコラーニが製造しているノービレ・ディ・モンテプルチアーノと、そのリゼルヴァ、またヴィン・サントのリゼルヴァのセラーとして利用されています。
木樽が並ぶ様子には感動しますし、14世紀に造られた地下道を歩くという体験も、とても興味深かったです。地下道には、エルコラーニの作るチーズも実際に熟成のため置かれています。
また、エルコラーニのセラーとしての役割の他に、紀元前に造られたエトルリア人の墓の遺跡や中世の拷問具の展示まであり、楽しめました。
ワインセラー見学を終えて、地上のお店に戻ると、ワインの試飲をさせてもらえます。
店員の方はフレンドリーで、英語で対応してくださいました。
私が試させていただいたのは、良い出来だったと、おすすめされた年の、ロッソ・ディ・モンテプルチアーノ(Rosso di Montepulciano)とノービレ・ディ・モンテプルチアーノ。ロッソ・ディ・モンテプルチアーノもDOCワインの銘柄で、サンジョヴェ―ゼ(プルニョーロ・ジェンティーレ)を70パーセント以上使い、熟成が最低4か月以上と決められているワインです。
個人的な感想を述べますと、はじめに試したロッソ・ディ・モンテプルチアーノは、鮮やかなルビー色で、フルーティな味わいで飲みやすく、美味しかったですが、次に試させていただいたノービレ・ディ・モンテプルチアーノは、濃いガーネット色で、より熟成された複雑な味わいで、美味しい良いワインだと感じました。
お店では、エルコラーニのチーズやサラミや蜂蜜も試食できます。
以上、モンテプルチアーノの無料で予約なしで気軽に、自分のペースで参加できるワインセラー見学についてご紹介致しました。
トスカーナでアグリツーリズモを楽しむ、ワイナリーを持つ宿泊施設に泊まろう!
アグリツーリズモという言葉をご存知ですか?
農業を表すアグリクルトゥ―ラと観光を表すトゥリズモが合わさって出来たこの言葉は、農家が営む宿泊施設に滞在し、現地の農生産物を食べるといった体験が出来る観光のかたちを意味します。実は、トスカーナ州は、イタリア全土の中で、最もアグリツーリズモの施設があるのです。
アグリツーリズモの宿泊施設があるワイナリーに滞在すれば、ゆっくりディナーなどで、ワイナリーの出すワインとお料理の組み合わせを味わうことも出来ます。
ワイナリー見学の中身も、ブドウ畑を見学できるのか、ワインセラーを見学できるのかなど様々で、例えばヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノのワイナリーとして紹介したワイナリー、ファットリア・ポッジョ・アローロ(Fattoria Poggio Alloro)では、ホームページで、彼らのワインの試飲や農場見学が出来ると紹介されています。
また、キャンティ・クラシコ・グランセレツィオーネを持つワイナリーのカステルヴェッキ(Castelvecchi)は、ワインセラー見学や試飲など、様々なツアーを開催しています。
目的に合わせてツアーを選べるのが面白いです。宿泊施設は、こちらでご確認いただけます。
ぜひ、アグリツーリズモ型の滞在で、のんびりと美味しくワインをいただくのも、おすすめです。
日本人ガイドによるツアーや、フィレンツェからのツアーでワイナリー訪問を!
トスカーナワインのワイナリーを訪れるためには、もともとトスカーナの町は、電車の駅から離れていることが多く、バスをうまく使うか、車の移動手段がないと、なかなか訪れるのは難しいかもしれません。
目的地まで辿り着くのが難しい場合、移動手段込みのツアーを利用するといった方法があります。以前私がモンタルチーノの町を訪れた際も、日本語が聞こえたので振り返ったら、10人以上のおそらく日本人旅行者とガイドさんが歩いておられるのを、見かけて嬉しくなったことがあります。
ワイナリー訪問をメインとしたツアーは、日本語を話すガイドがつくものを、旅行会社も組んでいて、フィレンツェ発着のものを見かけます。
また、トスカーナのワイナリー訪問に特化した個人ツアーを組んでくれる日本の会社もあります。
また、イタリアでは観光ガイドを職業にするには、地域ごとに決められた授業を取って、ライセンスを取ることが必要です。フィレンツェ県公認ライセンスガイド、シエナ県公認ライセンスガイドなど、このような資格を持つフリーランスの日本人のガイドの方々に、コンタクトを取ってワイナリー訪問のプランを立ててもらったり、アテンドしてもらうという方法もあります。
英語のツアーでしたら、Get your guideというサイトでトスカーナワインに関するツアーも、様々な内容でワイナリー訪問や、現地で町の観光と合わせて地元のワインを試飲などあります。
目的やご事情に合わせて、ぜひトスカーナワインのワイナリー訪問にチャレンジしてみてください!
トスカーナでベストなワイン ツアー – イタリアの一番好評なワイン テイスティング | GetYourGuide
英語によるガイド付きの現地ワインツアーを予約できるサイト。フィレンツェ発や、シエナ発のものがあります。
www.getyourguide.jp
トスカーナワインを味わいましょう!
トスカーナワインについて、筆者は、まだまだ知りたいことがいっぱいで、味わいたいワインが沢山あります。
何かしら皆様のきっかけになる記事になっていれば、とても嬉しいです。
トスカーナの美味しいワインを、ぜひ味わってみてください!
イタリアのおすすめ記事はこちら!
ミラノの美味しいグルメをご紹介!北イタリア在住者おすすめのミラネーゼの味!
グルメな国、イタリア!イタリアンファッションやデザインの発祥地、ミラノで、何を食べるべき?地元のミラネーゼたちに交りながらのグルメの楽しみ方から、伝統的、且つカジュアルなミラノ料理のレストラン、”ミラネーゼの食卓“まで、ご紹介します。
trip-partner.jp